大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和32年(オ)1156号 判決

大分市大字大分二五七八番地

上告人

吉島産業株式会社

右代表者代表取締役

吉島佐吉

熊本市花畑町八二番地

被上告人

熊本国税局長 吉田鹿之助

右当事者間の法人税審査決定取消請求事件について、福岡高等裁判所が昭和三十二年九月二十日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があつた。よつて当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨中違憲をいう点は、原審で主張しなかつた事実もしくは原判決に影響を及ぼさない事実を前提とするものと認められるから、上告理由として採るを得ないし、その余の主張は、原審が適法になした事実の認定ないし証拠の取捨、判断を非難するか、又は、原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背を主張するものとは認められないのであつて、これまた採ることができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

○昭和三二年(オ)第一一五六号

上告人 吉島産業株式会社

被上告人 熊本国税局長

上告代理人山中大吉、同吉島佐吉の上告理由

一、憲法第拾四条にすべて国民は法の下に平等でありまして差別されないとありますが弊社に対し左の如き差別されて居りますので憲法違反となり居ります。

一、公務員たる者は公民の指導者であります為め新憲法は公民の不知の無き迄指導致すべき責務があります。然るに公民に対し話合もなく左の如き更正通知をなせし事は憲法第拾五条の意に反し公務員法第八拾弐条、第八拾四条、刑法第二二二条に該当しております。

一、改正法人税法の概説第二章課税標準第二法人所得の計算に依らずして架空の課税をなし居られます事は之亦違反となり居ります故無効であります。

一、昭和二六年度決算期末日は十二月三一日でありますのに更正通知書は同二七年七月三一日に受けて居りますので法人税法第四章二(二)に依りますと六ケ月後にて政府承認後の事故無効となり居ります。

一、再審査請求願は昭和二十七年八月二十日に提出しありますが二十八年八月四日の決定通知でありますので受付日より三ケ月内に決定せぬと国家公務員法第九条の四に依り決定権が無くなりますので期限後の決定にて無効であります。

一、昭和三十一年五月二十二日衆議院大蔵委員会に於て青色申告をめぐつて横山委員と阪田国税庁長官との間に交された一問一答の抜萃を参考迄に掲載する。その中に村山説明委員の説明は国税庁以下に対する命令であります。白色申告と雖も資産増減、生活費の状況から所得を推計出来るとあります。

一、自動的に間違だと分りますればその部分丈を否認すれば足りるとあります。亦ドレス的にやる場合もありますが証拠に基き帳簿に基いてやるとあります故弊社の場合は帳簿が一々記載してありますから架空に推計課税になされ居りますので税法違反にて無効であります。

一、食堂の利率に変りはありませんが交際費又売残品は他の商店と違いまして経営状態が変り居りますので之は法人営業の為営業費に加算致しますので利益の算入になす事はできませんので課税の対象となりませぬ故課税法違反となり居ります。

一、当審証人小形貞子氏証言を援用し甲九、十号証の成立を認めた外は当該掲示と同一であるからここにこれを引用するとありますが小形貞子氏に吉島佐吉尋問致せし時に貞子氏の店は昼夜通しに営業致し居りますと証言致しました。此の理から見ますと売残品はありませぬ事亦本人が手伝致して居られます事にて明白であります。

一、然るに弊社は雇人に委せ切りの事にて注意は致しましても其通りには行きませぬ。亦急ぎ客であり戦災後の事にて設備が出来居りませんので造置きもありまして残りましても致仕方ありません。其残りは棄てる訳に行きませんので従業員に成るべく食べて下さいと申してありました。之は売上金にも消耗費にも計上致してありません。

一、来客の方には茶菓中食等時には差上げて居りました。熊本裁判所浦野氏に通達書を送り置きし通りで之も店にありますので売上金にも交際費にも記帳してありません。

一、税務署員の説の如く荒利益にはあるか分りませんが右の如き事にて実際損益の計算を見ると法人営業致し居ります為現金の取引丈計算致してあります為利益金には上りません為帳簿上に利益を見ない事は申迄もありません。

一、然し之は法人営業でありますので営業費と認められます事法人税計算法にあります故税務署員申立の裁判所判決理由等は国家公務員として違反にして公務員法第十五条違反であります故更正は無効であります。亦判決文理由の内に納税義務者に送達される決定書にその理由を記載しなければならないものではないとありますが之は憲法第十五条公務員の責務を無視せし事となり亦村山説明員の命令に違反となります。

右の如き施行は公民権を無視して居られます故共謀脅迫となりますので公民権第十六条により御取消相成度申請に及びます。

以上

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例